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エッジAIとは?

エッジAIが注目されており、活用の幅もどんどん広がっています。従来のクラウドAIと比較した場合、エッジAIにはどのような特徴があるのでしょうか。この記事では、AIの活用を検討している人に向けて、エッジAIの必要性や活用事例を解説します。今後、社内でAIの活用を進めるための参考として役立ててください。

目次

エッジAIがなぜ注目されているのか

エッジAIとは、端末に搭載されているAIのことです。AIといえばインターネットのクラウド上で利用できるクラウドAIが主流でしたが、IoTの活用の広がりにより機器に搭載されるエッジAIにも注目が集まっています。今後のエッジAIの可能性については、この後でくわしく解説します。

IoTとは

IoTとは「Internet of Things」を略した表現であり、日本語では「もののインターネット」と表現できます。あらゆるものがインターネットにつながり、クラウドサービスなどで情報の処理や連携を進めるための仕組みです。あらゆるものからデータを集めて分析すれば、それまではわからなかったくわしい傾向や状況も明らかにできます。

よって、IoTはより価値のあるサービスを生み出すために利用できると期待されています。IoTの導入は始まったばかりであり、今後はさらにさまざまな場面に導入されていく可能性が高いです。

IoTの普及で必要性が高まるエッジAI

IoTの普及により、膨大なデータをリアルタイムで集められるようになりました。膨大なデータをスムーズに処理する必要性が高まったことから、AIの技術が有効活用されています。機器によっては、瞬時にデータを処理しなければ性能に大きな支障が出るものもあります。クラウドAIでは通信の遅れが発生する恐れがありますが、エッジAIであればそのような心配はありません。

また、IoTのなかには機密情報を扱うものもあり、クラウドAIを利用するとなるとセキュリティ面も大幅に強化しなければならなくなります。そのような場合でも、エッジAIならセキュリティリスクを抑えて活用することが可能です。

「エッジAI」とは?

エッジAIとは、エッジコンピューティングとAI(人工知能)を組みあわせてできた造語です。端末そのものにAIを搭載する仕組みを表しています。エッジAIを搭載する端末は、自動車や産業用ロボットをはじめとして多岐に渡ります。端末に直接AIを搭載するので、即応性やセキュリティを高めることが可能です。以下では、エッジAIの概要を理解するために必要な情報をくわしく解説します。

従来のクラウドAI

従来は、データセンターへデータを送信したうえで処理するクラウドAIが主流でした。クラウドAIなら大量のデータを蓄積できますが、インターネットを経由しなければならないため高速な処理が難しい側面があります。

そのため、クラウドAIは、瞬間的な判断が必要である場面では活用できません。たとえば、自動車の自動運転にクラウドAIを導入すれば、数秒の誤差により安全を守れない危険性があります。

また、クラウドAIについては、データに応じて通信料が増える点もデメリットのひとつです。大量のデータをやり取りするとなると、通信料の問題により活用しにくくなる恐れがあります。

エッジコンピューティングとは

データが生成された場所の近くでデータ処理を行うための仕組みです。IoT機器そのものだけでなく、分散配置されたサーバーによりデータを処理する場合もあります。クラウドコンピューティングは同じサーバーにデータを集約して処理する集中処理型であるのに対し、エッジコンピューティングは分散処理型です。

エッジコンピューティングには、遅延を生じさせずリアルタイムでデータ処理ができるというメリットがあります。

エッジAIの特徴

エッジAIは、エッジコンピューティングにAIを搭載しています。エッジとは端末のことです。エッジAIは身近なところでも多く導入されています。たとえば、IoTによりつながっている電化製品にそれぞれAIを搭載し、その場でデータ処理を行っているものも増えています。

エッジAIは瞬間的にデータを処理して結果を出せるため、細かい状況に即した判断を下すことも可能です。プログラミングしきれないほど多様なパターンが実現でき、エッジAIを搭載することで、より多くの場面でAIの技術を有効活用できるようになります。

エッジAIのメリット

エッジAIの大きなメリットは、先にも述べたようにデータを瞬時に処理してリアルタイムな判断を実現できることです。また、インターネットを介してデータを集約するクラウドAIとは異なり、通信料も大幅に節約できます。データ量が増えてもそれに応じて通信料が高くなる恐れはありません。

また、クラウド上に蓄積するとなると不安が大きい重要なデータであっても、エッジAIなら高いセキュリティを維持したまま処理が可能です。エッジAIを活用すれば、クラウドAIでは扱いにくいデータも有効活用できます。

エッジAIの活用事例

エッジAIは、具体的にどのように活用されているのでしょうか。エッジAIはさまざまな分野で活用の幅が広がっています。これからエッジAIを活用するためには、実際の事例を参考にすることも大切です。ここでは、エッジAIの活用事例を具体的に解説します。

場所認識(MaaS)

MaaSとは、ITにより交通機関を結びつけて効率的に活用するためのシステムのことです。

すべての交通機関のデータを集約して1つのサーバーで分析するとなると、処理の負荷やコストも大きくなります。しかし、エッジAIを活用すれば、そのような問題も解決可能です。

それぞれのエッジAIで解析やデータ変数の統合を行うと、よりスムーズに処理を進められます。データ通信の遅延による問題も回避できるため、MaaSにおいてエッジAIは重要な存在です。

音声認識

生活のなかで最も身近にあるエッジAIは、スマートフォンです。スマートフォンなどに搭載されている起動ワード(トリガーワード)の認識は、エッジAIにより成り立っています。また、音声処理などの前処理部分にもAIを導入することで、認識性能の向上などにも効果があります。

たとえば、待ち受けがスリープ状態であっても、キーワードを言うだけでエッジAIの音声処理が行われ、スマートフォンが起動して必要な動作が行われます。スマートフォンそのものはスリープ状態であっても、ユーザーが発した音声に対してはすぐに反応できるようになっています。

顔認証

顔認証をはじめとする人物行動分析のAI開発においても、エッジAIが活用されています。具体的には、エッジAIにおいて画像処理を行い、クラウド上に蓄積されているデータと照合します。ただし、完全に認証するのは難しいため、正確には顔抽出と特徴量抽出に特化しているのがポイントです。

エッジAIの活用により、伝送するデータ量を最小限に抑えたり、個人情報を保護したりできます。顔認証は防犯グッズやマーケティングツールでも利用できるので、活用の幅は広いです。

姿勢制御(自律ドローン)

ドローンは自動運転も可能ですが、ここにもエッジAIの技術が活用されています。ドローン内部のエッジAIがリアルタイムに学習することで、目の前の人や構造物をすぐに認識して安全運転できるようになっています。自律ドローンの応用として、インフラの点検や補修だけでなく、人の追跡や物の捜索にまで活用できると期待されています。

エッジAIの未来

IoTや5Gの普及がさらに進めば、エッジAIもより広く活用されるようになると予想されます。すでにスマートフォンにはエッジAIが搭載されていますが、今後はさらに技術が進化し、より便利になる可能性があるでしょう。

また、MaaSや自律ドローンなどの実用化が進めば、エッジAIが必要とされる場面はますます増えていきます。エッジAIによるデータ処理が当たり前のものとなり、ビジネスや日々の生活においてなくてはならない存在となっていくと考えられます。

まとめ

エッジAIは従来のクラウドAIのデメリットを補えるため、さまざまな場面で活用できる可能性があります。すでに多くの研究が進められていますが、工夫次第でより便利に利用できるようになるはずです。

エッジAIの活用を進めるうえでは、IoT向けスマートセンシングプロセッサ搭載ボードの「SPRESENSE™」を利用してはいかがでしょうか。高い演算能力を備えつつ、省電力性にも優れています。便利なAIをよりスムーズに活用するために、ぜひお役立てください。

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