過去数回に渡り追いかけてきたIBMのクラウドサービス「SoftLayer」。ベアメタルの二人は、さまざまな企業へのインタビュー(コチラやコチラ)、ユーザー会や日本IBM本社への潜入レポート、日米エバンジェリストへのインタビューなどを通じて、SoftLayerへの知識と理解を深めてきました。
しかし、これまでのベアメタルの活動は、東京のみに限られていました。グローバルなクラウドサービスであるSoftLayerなのに、ベアメタルの二人はまだまだグローバルとは言えません。
そんなとき、名古屋にSoftLayerを導入している会社があるとの情報をキャッチ。ベアメタルの二人は、新幹線に乗り名古屋へと向かいました。ベアメタル、初の遠征です!
総合IT企業「エイチーム」は予想以上にアミューズメント
今回訪れたのは、名古屋駅近くにある「エイチーム」という会社です。スマホ向けのアプリ開発などを手掛ける同社。エンターテインメント事業では、「ユニゾンリーグ」や「ダークサマナー」「三国大戦スマッシュ!」「ダービーインパクト」などのスマホ向けアプリをリリース。ライフスタイルサポート事業では、「引越し侍」「ナビクル」「すぐ婚navi」といったサービスをリリースしています。
エイチームにおじゃましていろいろお話を伺おうとしたのですが、オフィスに入ったらびっくり! なんと、オフィスのあちらこちらがアミューズメントパークのようになっているのです。ということで、ちょっとオフィス見学をさせていただきました。
エイチームはオフィスビルの31階と32階にありますが、フロアの中央にはトップの写真のようなすべり台が!
これにはベアとメタルも大はしゃぎ。もちろん、すべります。ヒャッホーーー!
このすべり台は、オフィス移転の際に林高生社長からのサプライズだったそう。こんなものがオフィスにあったら、そりゃびっくりしますよね。さすが、会社設立日を2000年2月29日という400年に一度の日にする方だけのことはありますね。
そして、打ち合わせスペースにはブランコが!! 社員の方々も、ここで打ち合わせをしているそうです。メタルはうまくバランスが取れずにひっくり返りそうになっていました。
オフィスを歩いていると、打ち合わせスペースがいっぱいあります。以前のオフィスでは、打ち合わせスペースが少なく困っていたので、こちらのオフィスではふんだんに打ち合わせスペースを作ったということ。
和室もあります。ここにはゲーム機も用意されています。社員の方がここでゲームをしながら、あーだこーだと議論を交わすこともあるのだとか。こちらはテレビ電話会議ブース。遠く離れた場所にいても、スムーズに打ち合わせなどが行えます。
オフィス見学をしていたらちょっと疲れたので、社員食堂におじゃまして一休み。広々した食堂で、おいしいお昼ごはん。なんという恵まれたオフィスなのでしょうか。
ベアとメタルは、エイチームに就職したいと考えていたとかいないとか……。なんて楽しい会社なんでしょう。うらやましい。
SoftLayer導入の決め手は「グローバル」
一通り、オフィス見学をさせていただいた後は、いよいよインタビュー。エイチームがSoftLayerを導入した経緯についてお話を伺いました。
(左)エンターテインメント事業本部アシスタントマネージャー 佐藤幸俊さん(中央)エンターテインメント事業本部シニアエンジニアマネージャー 堀俊一さん
(右)管理部情報システムグループ 安藤加奈子さん
ギズモード編集部(以下ギズ):SoftLayerはどういった経緯で導入されたのでしょうか。堀俊一さん(以下堀さん):もともとIBMさんとは全く別の案件でお取引がありまして、お話をしていくなかでベアメタルサーバーでFusion-ioが搭載できることをご紹介いただきました。同時にSoftLayerというクラウドサービスに興味を持ちまして、導入することにいたしました。ギズ:クラウドサービス自体はすでにお使いだったのでしょうか。堀さん:ホスティングサービスやクラウド系のサーバーは多数使い分けています。ギズ:SoftLayerを採用した決め手というのはなんでしょうか。堀さん:弊社は、プロジェクトごとにサービス特性やコンセプトを考慮し、ユーザー様にとって理想的な形で実現できるのかということを検討します。また、グローバル展開をエンターテインメント事業の注力ポイントととらえています。そのなかで、グローバルでの通信速度、特にレイテンシーを低く抑えたリアルタイム性のあるサーバーが欲しいということになり、比較検討した結果SoftLayerが一番いいだろうということになりました。グローバルでの回線をサービス内で提供している業者さんは、ほとんどありませんでした。佐藤幸俊さん(以下佐藤さん):弊社はグローバルでの海外展開に注力しています。しかし、例えばヨーロッパに対する物理サーバーを持ったベンダーはなかなかいません。その面でもメリットが大きいと思いました。堀さん:現時点での我々の知識や経験では、現地のホスティング業者と直接やりとりしてサーバーを借り、グローバルな回線で直接結ぶというのはまだ難しいと判断しました。ギズ:現地のサーバーと契約をするのが理想的なのでしょうか。堀さん:場合によると思います。その地域だけで展開するサービスならそれでいいかもしれません。しかし、北米や日本や世界中で同時にリリースして、ユーザーをひとつにまとめてプレイさせたいと思ったら、世界中のサーバー同士をつなぐ通信回線網をきちんと整備しなければならなくなります。ベアメタルならではの高性能と安定性に期待
ギズ:世界各地にデータセンターがあり、それらをつなぐネットワークの品質が高いSoftLayerは、グローバル展開にぴったりだったわけですね。SoftLayerを実際に使ってみての率直な感想をお聞かせください。堀さん:期待しているという感じです。ベアメタルサーバーということで、稼働時の安定性は特に期待しています。仮想サーバーでは、関係ない他社のサービスの影響を受けるなど、予測しづらい負荷が出てしまったり、仮想サーバーならではのボトルネックがあったりします。しかしベアメタルサーバーなら率直なレスポンス、パフォーマンスが出るのではと思っています。佐藤さん:現時点では、仮想サーバーも併用しているのですが、本番環境ではほとんどをベアメタルサーバーにする予定です。安藤加奈子さん(以下安藤さん):ネットワークゲームでは、レスポンスや安定性がものすごくシビアに求められているので、SoftLayerのような高速ネットワークは重要です。
堀さん:一瞬遅延しただけで、勝敗が決することもあります。ユーザー様にとって、その一瞬は大事な瞬間です。グルーバルな展開におけるSoftLayerの役割とは?
ギズ:グローバル展開を目指すにあたり、SoftLayerが果たせる役割というものがあるのでしょうか。堀さん:あると思いますし、そこに大いに期待しています。海外リージョンを持つ国内のベンダーさんでも、日本では使えても海外では使えない機能やオプションサービスがあったりします。SoftLayerならば、ほぼ全世界で同じ機能やオプションが使えるので、テストもしやすいですし、安心してリリースできるという予測ができるので、とてもありがたいですね。ギズ:ビジネスという観点から見ると、機能や規模だけではなく、価格面も重要になります。堀さん:その点は非常にがんばっていただいていると思います。安藤さん:別のベンターさんで提供している高スペックのサーバーと比較したところ、それほど差がないということになりましたので、価格面ではかなり満足度が高いと思います。ギズ:SoftLayerはハイスペックな構成ができるだけではなく、価格面でもバランスがとれているというわけですね。堀さん:そうだと思います。ギズ:本日はお忙しい中ありがとうございました。あのー……。安藤さん:はい?ギズ:もう一回、すべり台すべっていいですか?SoftLayerが選ばれる理由とは?
今回、エイチームを取材させていただいて一番印象に残ったのは「グローバル」ということ。もはや、スマートフォンアプリ、特にゲームの世界では、日本だけではなく、北米、ヨーロッパ、アジアなどを視野に入れて、同時に展開するのが前提となっています。
そこで重要になるのが、「データセンター間の高速ネットワーク」です。全世界で誰もが同じようにプレイできること。しかもリアルタイムで。
このような状況を実現するためには、世界26ヶ所にデータセンターを開設し、しかも各データセンター間を高速ネットワークで接続しているSoftLayerは、まさに望まれるクラウドサービスなのです。
グローバルなサービスを実現するためには、グローバルなクラウドサービス。これはもう、必然なのかもしれません。
多忙な中、お時間をいただきましたエイチームのお三方、誠にありがとうございました。ベアとメタルは、SoftLayerについてさらに深く知ることができました。なお、エイチームでは事業拡大にあたり一緒に働ける仲間も募集しているそうですよ!
東京を飛び出して名古屋に降り立ったベアメタル。さあ、今度はどの街に行こうかな……?
source: SoftLayer
(文・三浦一紀/写真・小原啓樹)