初回にして伝説となった「CODE FESTIVAL」が新しいプログラミングの歴史をつくる

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  • author 三浦一紀
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初回にして伝説となった「CODE FESTIVAL」が新しいプログラミングの歴史をつくる

予想以上におもしろかった!

11月8(土)〜9日(日)、リクルート主催の(おそらく)世界初のフェス型プログラミングコンテスト「CODE FESTIVAL 2014」が、東京の3331 Arts Chiyodaで開催されました。

フェス型プログラミングコンテスト(以下プロコン)をなぜ開催したのか。その経緯については、主催者側へのインタビューという形で、こちらの記事でご紹介しております。スタッフのプロコンにかける熱い想いや、フェス型プロコンに至るまでの経緯、そして今後の展望などをご理解いただけると思います。

ギズモード編集部では、そのCODE FESTIVAL 2014を見届けるべく、2日間にわたって取材を敢行。これまでにない大きな規模なプロコンがどのように行われたのか、お伝えしたいと思います。

いきなりメインイベント、200人参加のプログラミングコンテスト本戦

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CODE FESTIVAL初日は午後12時より開始。そしてここでメインイベントの本戦が開催されました。700人以上のなかから勝ち抜いた200人の予選通過者が体育館(会場の3331 Arts Chiyodaは中学校校舎を再利用している)に一同に介し、3時間で10問の問題にチャレンジしました。

ルールはシンプル。制限時間内により多く問題を解くことで勝敗が決まります。解答数が同じ場合は、より早く解いた人が勝ちとなります。

通常のプロコンは、本戦参加者は20名程度。一方CODE FESTIVALは200人。そうなると、必然的に参加者の実力にも差が出ます。「参加することに意義がある」とは言え、あまりにも実力が違いすぎる場合、参加のモチベーションも下がってしまうことでしょう。

しかし、個人のモチベーションを維持するための工夫がされています。上位30名には上海で行なわれるアジア決勝ツアーへの参加権が与えられるほか、10問中6問正解すると特製パーカーのプレゼント、FA賞(First Accept=その問題を最初に正解した人)やLA賞(Last Accept=その問題を最後に正解した人)といった賞を用意。これならば、個人で目標をたてて取り組みやすくなります。

実際参加者の中には「パーカーを狙っていきます」という人も。参加者それぞれが自分の目標に向かって挑むコンテストの側面も見ることができました。

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コンテスト本戦は全員参加のコンテンツでしたが、このほか2日目朝に行われた「あさプロ(朝からプロコン)」は自由参加。このほか、人工知能プログラムを戦わせる「A.I.Challenge決勝戦」も開催されました。

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2日目の最後は、全員参加の「チーム対抗早解きリレー」を開催。参加者がチーム分けされチームワークで問題を解いていく形式は、参加者同士のコンビネーションなども問われます。

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このように、2日間にわたりさまざまなパターンのコンテストが行われました。バラエティに富んだコンテストが並び、参加者だけでなく見学していた我々も楽しめましたよ。

さまざまなコンテンツが楽しめるのがフェスの醍醐味

FESTIVAL」と銘打っているだけに、コンテスト以外のコンテンツが充実しているのが「CODE FESTIVAL 2014」の最大の特徴です。

会場全体を撮影したタイムラプス動画をご覧いただけるとわかるかと思いますが、数々のイベントが開催されていました。

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初日の本戦後に開催された、コンテスト上位5名によりエキシビションマッチをはじめ、海外のボードゲームが自由に遊べるブース、筆と墨で自由に文字を描ける「書道コーディング」、Dance Dance Revolution太鼓の達人が自由に遊べるゲームコーナー、タイピングゲーム「ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド Final Exam」をプレイできるコーナーなどを設置。参加者は空き時間に自由にプレイすることができます。

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そのほか、プロコン界隈の著名人によるトークライブや、ライトニングトークなども2つのスペースで2日間合計9回行われていました。

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これだけではありません。両日とも、開催されたコンテストの問題について解説してくれる個別指導塾も開講。遊ぶだけではなく、しっかりとプログラミングの勉強もできるコンテンツが用意されている点が印象的でした。

取材をしているときに感じたのは、参加者が思い思いに過ごしていること。トークライブなどを熱心に聞いている人、コンテストで知り合った人たち同士でボードゲームを楽しんでいる人、個別指導塾で解けなかった問題の解説を聞いている人、太鼓の達人で高得点を出している人などなど、とにかく参加した人それぞれが、それぞれの楽しみ方をしていました。まさにフェス。単なるコンテストではありません。

フェスティバルのキャッチコピー「楽しみかたは、十人十色」が、しっかりと具現化された空間でした。

ありえないくらいのホスピタリティの充実

この「CODE FESTIVAL 2014」は、参加者にとって天国だったのではないでしょうか。

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とにかくホスピタリティの充実が目につきました。参加者の交通費は全額支給。遠方からの参加者には前泊も含め宿泊施設の提供。開催中の食事もすべて用意されていました。

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コンテスト会場には、大量のお菓子と飲み物も用意されています。なんという幸せな空間。

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これだけではありません。コンテスト上位者への賞金や賞品はもちろんのこと、それ以外にもあさプロ参加者へはオリジナルのタオル、各ブースでイベントに参加するともらえる缶バッジ、各ゲームコーナーおよび書道コーディングの成績上位者にも賞品が用意されていました。

この辺りに、主催者側が参加者を楽しませたいという思いが伝わってきます。

このような目に見えるところばかりではありません。フェスティバルの裏側のホスピタリティも万全です。

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初日の来場時間には会場周辺にスタッフが数人立っており、会場へ向かう人を誘導していました。加えて、電源不足に備えて発電機を2台稼働。また、会場には専用ネットワークを完備して参加者に無線LANでの接続を提供していましたが、万が一に備えて人数分の有線LANモバイルルーターも準備。結局有線LANとモバイルルーターが使われることはありませんでしたが、前年の失敗(電源不足、無線LANがつながらないなど)を教訓として、二重三重の準備をしていたのです。

また、寒さ対策として使い捨てカイロも用意されていました。参加者のなかには「カイロがあって助かった」という人もいたようです。

こうした準備があったおかげで、フェスティバル開催中に大きなトラブルはゼロ。これだけの規模のプロコンをトラブルなしで終わらせることができたのは、前年の教訓を活かし万全に準備をした運営者側の努力の賜物なのだと感じました。

ギズモードが見た「CODE FESTIVAL 2014」

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2日間通して取材をして、一番感じたことは「思っていた以上のおもしろさ」でした。そして「もっとおもしろくすることができる」ということ。

そのヒントは、初日の本戦後に行われた「エキシビションマッチ」と「A.I.Challenge決勝戦」、そして2日目最後の「チーム対抗早解きリレー」にあると思います。

プロコンは、参加者が黙々と問題を解いて、その解答数やクリアタイムを競うものです。正直、プログラミングがわからない我々にとって、ただ見ているだけでは動きがなくおもしろさが伝わらない部分もありました。

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しかし、エキシビションマッチでは、本戦上位5名が別室に移動し、コーディングしている様子を本会場で放映。解説者が画面に映る5人の画面や様子を実況することで、エンターテインメント性が付加されました。

エキシビションマッチに参加した人たちも、自分たちの様子が会場に流れているということを意識してか、問題を解いている途中で画面上に今の心境を書いたりするシーンも。普段のコンテストとは一味違う雰囲気となりました。

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A.I.Challenge決勝戦」は、4人の挑戦者がそれぞれ作成したA.I.を使って対決させるというもの。ゲームの内容は陣取りゲームのような感じですが、ビジュアルを使って勝敗の行方がわかりやすいという点で、プログラミングのことがわからなくても純粋にゲームの対決を見ている感覚です。

プログラミングというと、どうしてもパソコン画面にソースコードが並ぶという地味な絵面になってしまいがちですが、このようにグラフィックを使ってエンターテイメント性を出していくと、プログラミングがわからない人たちでも楽しめる可能性があると思います。

A.I.Challenge主催者である坂本一憲先生も「プログラミング人口の裾野を広げたい。そのたためにこういうイベントが必要」とおっしゃっていました。

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チーム対抗早解きリレー」では、1チーム10人、合計20チームが、1時間30分の制限時間内に10問の問題にチャレンジ。9問目まで順調に解答していたチームが最後の問題で時間がかかり他チームに逆転されてしまうなど、ドラマチックな展開も生まれました。

この様子は実況とともにビデオカメラでリアルタイムに会場内のスクリーンに放映されていました。

参加していない僕らも、その展開にハラハラドキドキ。プログラミングについての知識はありませんが、各チームが奮闘している姿や、順位がリアルタイムに入れ替わっていく様子を見ていて、まるでスポーツ観戦をしているかのような感覚でした。

その模様をタイムラプス動画でどうぞ。

プロコンとは思えないほど動きがあって、見ていて楽しいんですよ。プログラミングを知らない僕らが見ても楽しいんです。

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今回のCODE FESTIVAL 2014のテーマのひとつに「競技プログラミング人口の増加」というものがありました。

つまり、このフェスを通じて「参加してみよう」と思う人が増えてほしいということです。今回は、本戦参加者しか体験できなかったというのが残念でした。

今回の様子を見た立場として、見ているだけでも十分楽しめるCODE FESTIVALなら、競技プログラミングをあまりしたことがない人でも絶対に楽しめると言いたいです。

次回も開催されるならば、是非参加してもらいたいものです。

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今回の「CODE FESTIVAL 2014」は大成功といっていいでしょう。だからこそ期待を込めて、もっと大きくなってほしいと思います。来年、再来年と続いていくのであれば、もっと一般の人を巻き込んだムーブメントになってほしい。会場も一回り大きくし、来場者が自由にいろいろなコンテンツを楽しめるようにした、本当のフェスティバルになってほしい。

これだけのイベントを成功させたスタッフですから、おそらく来年はもっと楽しく、もっとおもしろいCODE FESTIVALを開催してくれることでしょう。

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2014年11月8日(土)9日(日)、東京で行われた「CODE FESTIVAL 2014」は、競技プログラミングの歴史にひとつの足跡を残しました。そして、その歴史はこれから作られていきます。

これからどのような歩みを見せてくれるのか、CODE FESTIVAL 2014を体験した者として期待しています。

公式サイトでは、各コンテンツ&表彰者インタビューの映像や写真が今後アップされる予定とのこと。そちらも楽しみです。

source: CODE FESTIVAL 2014

(三浦一紀)