自宅のHDDレコーダーやチューナーにつなぐと、スマートフォンやタブレット、パソコンでテレビ番組が楽しめるガジェット「Slingbox(スリングボックス) 350」。

Slingbox 350を使えば、放送をリアルタイムでほぼ遅延なく観られるし、キレイな画質で好みのデバイスで楽しめる上に、出先から録画の予約もできる──。言うなればこれは「どこでもテレビ」で、自宅のテレビとHDDレコーダーをカバンに(ポケットに)入れて持ち歩いているような感覚を味わえます。

いつも見逃したくない番組がある人、レコーダーに録りためているけれど消化しきれないという人には特にオススメできます。ただ、Slingbox 350の良さはそれだけではない。生活に取り入れると、テレビとのつきあい方が変わった実感があったので、今回の記事ではそのあたりを紹介したいと思います(実は引っ越し後、「テレビを家に置かない」生活を始めたのですが、そういう人にもオススメしたいガジェットでもあります/後述します)。

インターネットで自宅のテレビをストリーミングする

まず、Slingbox 350はどういう仕組みで「自宅テレビ」を見られるのか。下記の図が分かりやすいと思います。

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Slingbox 350の商品カタログより

Slingbox 350を設置した後、動画を視聴する方法はデバイスごとに異なります。パソコンではSLINGBOX公式サイトでログインし、「WATCH」ページにアクセス。ブラウザごとに用意されたプラグインをインストールすれば、プレーヤーが表示されます。

スマートフォンやタブレットは、専用アプリ『SlingPlayer for Mobile』を購入してインストール(iOS、Androidともに対応しています)。設定からログインすれば準備OKです。

テレビを「好きな時に見られる」と付き合い方も変わる

「ワンセグでもいいじゃん」という声もあるでしょうが、スマートフォンユーザー、とくにワンセグ機能のないiPhoneユーザーにとっては、今のところSlingbox 350がもっとも「スマート」な方法のひとつです。画質については言うまでもなく(HD画質に対応)、自宅と同じ環境で視聴できるので契約していればBSやCS、CATVも視聴できます。ワンセグより断然、ハイスペック。

また、好きな時に好きなテレビを見られるということは、言い換えれば「テレビ」というメディアをより自分好みに活用できるともいえます。

たとえば、趣味のサッカー番組とアニメ、企業取材や社長が登場するようなビジネス番組をHDDレコーダーに日々録りためている、私の場合。

1.移動中など仕事のスキマ時間は「オフ」タイム。趣味の番組で頭を切り替え

仕事をしているときの頭は、いくつものタスクを並行して考えがちです。煮詰まったときにコーヒーブレイクで気分転換するように、頭をリフレッシュすると、次に取りかかるタスクに新鮮な気持ちで取り組めます。そこで、録りためておいた趣味の番組を視聴してみる。

たとえば電車に乗って取材へ行くスキマ時間を活用し、30分もあればサッカー番組や今季追っているアニメを見ます。動物の生態を追う"なんとかジオグラフィック"的な番組も、気分がすごく落ち着きます。読書時間に充ててもよいのですが、うとうとしてムダに過ごしてしまうこともあります。その点、テレビ視聴ならあまり眠くなりません(好きで見たいと思っている番組ですしね)。

2.始業前/就業後は積極的に「オン」タイム。ビジネス&学習番組で情報収集

出勤前の通勤中、昨晩放送していたビジネス番組を見て仕事に挑む姿勢にスイッチを入れる。情報にも触れられ、職場や客先での「そういえば昨日テレビで見たアレ...」なんて話題にもついていけます。また、仕事を終えた後も時間を有効活用。「仕事モード」をそのままに、積極的なオンタイムを続けていきましょう。

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最近は、帰宅前に喫茶店へ(給料日前はコーヒーを持って公園へ...)立ち寄って、英会話など学習系のコンテンツを見るようになりました。帰宅してひと息つくと、どうしても気分がゆるんでしまいがちですが、この方法なら日々続けるべき学習ノルマもこなしやすいのです。

3.出張/旅行先で放送がない番組があっても見逃さない

ホテルに入ってテレビをつけると、「あれ、いつも見ているチャンネルがない...」というのはよくある話。でも、Slingbox 350はいつでも自宅と同じ環境で楽しめるため、好きな番組を見逃しません。もっと言えば、海外出張の最中であっても、日本のテレビや録画した番組を見られるわけです。

こう思った

仕事をしていれば、日々、会社での決め事や誰かとの約束がついて回ります。1日24時間しかない貴重な時間は、移動や会議の連続で細かく分断されてしまう。そして、仕事を終え振り返ってみると、ひとつひとつのプロジェクトは意外にも進んでいないことに愕然とする...。

教育系の番組からエンタメまで、テレビのコンテンツはやっぱり豊富です。そのコンテンツの中から自分で選んだ番組を録画しておく行為は、ネットに転がる動画を探すのとはワケが違います。活用すべき細切れの時間を、ネット上を動画を探して回るくらいなら、最初から見たい番組に照準を絞っておく方が、よっぽど効率的。それに、テレビ局の決めた放送時間も地域も、いわば無視して自分のものにしてしまうというのは、なんとも"ハック"で素敵じゃないか!と思うのです。

家にテレビがない人は、実家のテレビを使うという手もある

さて、先述したとおり、「いま」の私の家にはテレビがありません。「必要なモノだけを持つミニマルな暮らし」を実践すべく、引っ越す際の荷物からテレビを削ったのです。徐々に慣れてはきましたが、サッカーや野球、その他スポーツの決戦の瞬間や、年末年始の特番が見られないのを寂しく思っていたのも事実。そんな時でも、Slingbox 350を活用できます。

要は、ひとり暮らしの我が家から遠く離れた実家のテレビに繋いでしまえばいいのです。

実家のテレビに繋いできた

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サイズは横17.7センチ×高さ4.2センチ×奥行き10.8センチ(編集部調べ)。ルーターはUPnPもしくはNAT-PMPに対応したモデルを使うこと

Slingbox 350を使うために必要なものは「D端子搭載のレコーダー(チューナー)」「ルーター」「インターネット回線」です。レコーダーから受信した映像と音声を、Slingbox 350がルーターを通し、インターネット経由でPCやスマホに配信してくれます。

D端子での接続というと少し古さを感じますが、それはむしろメリットでもあって、実家に置いてある少々古めのレコーダーにも接続できました。

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SLINGBOX 350の背面

接続に必要なケーブルはSlingbox 350に同梱されているので、別途買う必要はありません。なるべく高画質で見るためには、通信速度と安定性の点で有線LAN接続が望ましいですが、通信速度に合わせて画質を調整する機能も用意されています。

先日のサッカー日本代表戦を風呂に入りながら見ていたのですが、通信速度が遅くなって表示が「標準画質」に切り替わっても、サッカーボールや選手の動きはちゃんと追えるくらいの画質がキープされましたし、音声もハッキリ聞こえる。リアルタイムで楽しみたい!という気持ちをしっかり叶えてくれました。

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お風呂に入っていても興奮のゴールシーン、見逃しません

冒頭で「どこでもテレビ」と言及しましたが、これは「いつでもテレビ」でもあります。「いま、ちょうどいいところなのに!」という瞬間にテレビの前を離れなければならなくなっても、SlingPlayerをインストールしたスマホやタブレットがあれば、いつだって続きを見られます。

Slingbox 350とHDDレコーダーのコンビでテレビを120%楽しむ

先述した通り、テレビ放送を受信して見るだけでなく、SlingPlayer経由でHDDレコーダーの電源を入れたり、録画予約もできます。その点で、Slingbox 350はHDDレコーダーを遠隔操作できるガジェットともいえます。

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タブレット版及びPCブラウザ版では、接続したレコーダーの純正リモコンそっくりのコントローラーで操作する

これまでの手順からわかるように、Slingbox 350はすべてインターネット経由で動作するため、私のように実家のテレビを拝借してしまう方法も使えるというわけです。

ただし、私のような実家拝借タイプにはひとつ問題があって、それは「家族がHDDレコーダーを使っている番組を見ているときは、同じ番組を見なくてはならない」ということ。そこで、どうしても見逃したくないものは、事前に「この時間にはHDDレコーダーは使わないで」とお願いしています。ちょっと面倒ではありますが、ついでに家族の様子も聞けて、実家に連絡する良いきっかけになっています。

Slingbox 350はテレビが優れた情報源であること、話題となるコンテンツの宝庫なのだということをあらためて感じさせてくれます。そして、細切れになった時間をもてあますビジネスパーソンにとっては特に、テレビとの付き合い方をポジティブに変えてくれるガジェットなのだと思います。

Slingbox 350 特設サイト

(ライフハッカー[日本版]編集部)