「2036年2月6日15時28分16秒、その瞬間に世界が止まるかもしれないんだよ!」
Ω ΩΩ<「な…なんだってー!」
「世界が止まる」はちょっと大げさすぎるかもしれませんが、それくらいの一大事なんです。なぜかというと、みんなが使っているコンピュータがいっせいに止まってしまうかもしれないから。命の次くらいに大切なコンピュータが止まってしまったら…? 考えるだけでもゾワゾワしてきます。それが「2036年問題」なんです。で、2036年2月6日15時28分16秒に何が起こるのか…。
その前に、NTP(Network Time Protocol)の説明から始めないといけません。NTPは、ネットワークにつながった機器同士がデータのやりとりをする際に、それぞれの機器が正確な時間を保てるようにするためのもの。
NTPは、1900年1月1日0時0分0秒からの積算秒数で表現されていて、32ビットの符号無し整数で表されるんです。なので、2の32乗までしかカウントできず、桁があふれてしまうのが2036年2月6日15時28分16秒というわけ。桁があふれてしまうとNTPが誤動作すると予想されています。
2000年問題は大きな混乱が起こらずに済んだけど、もしかしたら2036年には本当にまずい事態になるかもしれません。世界中のコンピュータが誤作動を起こしてしまう恐れだってあります。でも、64ビットの機器に置き換えたり、最上位のビットが0の場合に2036年2月6日15時28分16秒を起点として計算して回避したりと、最悪の事態を避けるべく解決策は模索されているので一安心です。
ただし、無事に2036年問題を乗り越えられたとしても、その2年後には「2038年問題」が起こる可能性が…! こちらはUNIXやC言語で定義されている時間表現が「2036年問題」と同様にオーバーフローしてしまうという問題。人によってはこちらの方が重大であるという見方をする人もいるんです。その1人が…
ジョン・タイターという人物。彼は2000年にインターネット上に現れた未来からのタイムトラベラーで、2036年からやってきたと自称しています。タ…タイムトラベラーだって〜!!!? にわかには信じがたいですが、タイターがタイムトラベルした目的こそ、2038年問題の解決だったのだとか。彼によると大国間の戦争が起きて混乱が生じ、2036年の世界は退廃的なムードに陥ってるそうです。ただ、彼がいた世界と私たちの世界はパラレルワールドになっていて、同じような未来になるとは限らないようですけどね。でも、それにしても怖いなぁ…。
「2036年って暗い未来しかないのかな」と不安になっちゃいますけど、明るい未来を考えている企業があったんです。それがリコー。なぜリコーなのかといいますと…実は、2036年問題が起こる当日、2036年2月6日はリコーが設立100周年を迎える日でもあるようなんです。これはなんという符牒! そして、リコーでは名だたるクリエイターたちと考えた「2036年の未来像」をスペシャルサイトで公開していました。「今から2036年を考えてるなんて気が早くない…?」と思いつつも、これは2036年を知る上では外せないかもと思いサイト内を探索!
というわけで、どんなサイトになっているのか見てみましょう。サイトトップは黒を基調としていて、なんとなく『2001年宇宙の旅』のモノリスっぽいかも。
『パラサイト・イヴ』や『BRAIN VALLEY』などで知られるSF作家の瀬名秀明さんと、リコー ネットワークアプライアンス事業部の山本陽平さんによる対談が掲載されていました。さらに、今後は『機動警察パトレイバー』や『鉄腕バーディー』のマンガ家ゆうきまさみさん、『STEINS;GATE』『ROBOTICS;NOTES』のゲームクリエイター志倉千代丸さんが登場予定。なんという豪華かつ俺得なメンバーなんでしょ。
対談の中身は、「2036年の仕事場がどうなっているか」について。クリエイターとリコーが考える未来の一端が伺えます。pixiv(ピクシブ)の人気絵師、ざいん(zain)さんが描いたイラストが華を添えていて、このイラストの未来感がまたはんぱないんです。ツンデレなお掃除ロボとか、めっちゃ叱られたいなぁ…。
ほかにもたっぷり対談の内容とイラストを見られるので、ぜひスペシャルサイトを見てみてみましょう。
個人的には「リコー」のイメージは、GRをはじめとする「尖ったカメラを作るメーカー」。GR、しっとりとした画作りでいいですよね。それ以外にも、今はなきコンパクトデジカメのCaplioシリーズを親にプレゼントしたこともありましたし、個人的に使っているデジタル一眼レフカメラもペンタックスなので、リコーの子会社になった時は縁を感じたものでした。でも、カメラだけがリコーじゃないんだって、このスペシャルサイトを見てちょっとイメージが変わりました。
ただ、僕の中ではイメージが変わったんですけど、むしろリコーは一貫した想いをずっと持ち続けてきたようなんです。リコーの歴史をちょっとだけ紐解いてみましょう。たとえば、1955年に発売になった「リコピー101」。これは卓上型のコピー機で、露光(焼付け)・現像一体型としては日本初の製品なんです。つまりコンパクトで使い勝手がいいってこと。
その後、高速なファックスやデジタル複合機など、リコーは一貫してオフィスで働く人が快適で便利に仕事をできるような製品を作ってきた企業なんですよね。
そういえば、リコーのブランドメッセージは「imagine. change.」。これってリコーがコピー機やカメラなど、いわゆる「イメージング」の会社だからこういう言葉を使っているんだと思ってました。でも、「創造性と、将来を見据えた発想で、より良い未来を切り拓いていく」という強い想いが込められていたんですね。
そうした「より良い未来」のひとつが垣間見えるのが今回のスペシャルサイト。リコーが100周年を迎える2036年に向けてクリエイターとともに真剣に「未来の人たちのコミュニケーションや働き方を考え」ているわけです。上のほうで、気が早いとかいってすみませんでした!
2036年ってどんだけ暗いの?って不安になったけど、けっこう明るい未来が待ってるのかもですね。
西暦2036年を想像してみた FORWARD THINKING #IGNITE IMAGINATION[リコー]
[2036年2月6日15時28分15秒、次の瞬間に世界が止まる - NAVER まとめ , The Story of John Titor]
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(松葉信彦)